収支計画書の策定

開業前に作成する収支計画書は、資金調達を行う際に金融機関に提出することが大きな目的ではありますが、融資依頼時はもちろんのこと物件の精査時から開業後まできめ細かな計画をたて、リスク検証を行うことも必要です。採算がとれる患者数は一日何人ぐらいか、借入金は返済できるのか、職員の採用人数は適切かなど具体的にひとつひとつの項目をとりあげていきます。

1.当初3年間は月別に収支予想を行います。開業後3年程度は収支の面で不安定な時期といわれ、月別の収支予測を行うことにより資金の備えを十分に行っておくことが必要です。

2.月別の収支予測を行うにあたっては、標榜科目特有の診療単価の設定と季節要因を加味した患者数を設定します。

3.診療日、休診日を決め、開業月から月々の実際の診療日を数えます。

4.各月の収入合計=患者1診療当たりの単価×1日当たりの患者数×診療日数 となります。

5.支出項目は、医業原価(医薬品、診療材料、検査委託費等)、人件費、地代家賃、広告費、保守料、支払利息、リース料その他諸経費があり、また経費にはならない借入金元金返済や生活費や税金も考慮していきます。

6.収入から支出を引いたものが当月収支となりますが、開業当初はマイナスがしばらく続くこともあります。マイナスを考慮した運転資金の手当がここで必要になってきます。

月別の収支予測をたてることにより、採算ラインの収入はどの程度で、そのためには1日あたりの患者数が何人必要なのかなど具体的な数字を把握することができます。

BMSでは、先生方の診療の特性や理念を十分にヒアリングし同じ目線で作成してまいります。どうぞお気軽にご相談ください。

事業計画の組立て

事業計画作成をはじめるにあたり、

まず、①なぜ開業するのか ②診療方針・理念は明確になっているか ③方針と立地は合っているのか

改めて見直し、開業にかかる資金(物件、医療機器、医師会入会金等)を洗いだしていきます。この開業時に必要な資金をどのような方法で調達するのか、自己資金で賄うのか、借入・リースを申込むのか「資金調達計画」を組立てていきます。

同時に収支計画をたてていきます。これは金融機関からの借入には絶対に必要な書類です。収入と支出のバランス、借入金返済は可能か、生活費は確保できるのか、診療所経営の目標数値と現実的なラインを開業後月別に予測をしていくことが大事です。

処方箋対応について

現在の医療機関は国の政策でもある医薬分業の推進にも従い、殆どの医療機関は処方箋を院外に出し、患者さんは保健薬局さんでお薬を受け取る形が大半となっています。

患者さんへの”処方薬の出し方”は、院外処方がいいのか・・院内処方がいいのか・・患者さん側と経営側の目線に立ち、院外処方化のメリットとデメリットについてお話させて頂きます。 仮に院外処方となれば、対応して頂く応需薬局も患者さんの利便性や、先生の医療方針との共有性・協調性などを考慮し、開業する場所選びも検討する必要が出てきますので、開業プランニングには最も大事な要素となってきます。是非参考にして頂ければ・・

 

【院外処方】

患者さんメリット
・薬剤師さんによる情報提供が受けられる
(適切な服薬指導、有効性、安全性、副作用情報提供など)

・薬歴管理があるため総合的に管理されている
(OTC、健康食品までの管理、重複投与、相互作用の未然の防止など)

・診療後の待ち時間が軽減される

・医師、薬剤師が関わる事で医学薬学と両名から管理してもらえる

 

患者さんのデメリット
・負担金の増加
(医療機関での負担と合わせて薬局でも負担があり合計すると院内処方より負担金が増えてします。負担増えてしまうのは薬局で情報提供など受けていると思います)

・薬局へ行く手間
(距離や悪天候により心身的負担・どこの薬局を選択すればいいかわからない場合もある)など

経営側のメリット
・ローコスト経営
(薬剤に関するコストが減少)

・薬剤に関する手間の軽減
(薬剤購入・管理に関する手間の減少・必要な人員の減少・業務負担が軽減されるので人人件費も削減)

経営側のデメリット
・薬価差益の減少

・医業収入の減少
(キャッシュフローが小さくなる など)

・Drの不安 薬物治療の一貫性への不安
(薬物治療が処方医の理解の元にきっちり行われているか?)
・服薬指導等の不安
(医療機関との統一した指導が可能か?)

・患者情報の入手の不安

(患者さん情報が薬局様に止まることなく、医療機関にフィードバックされているか?)

などなど、大まかにざっくりですがご参考まで。

診療日・時間の決定、問題点

診察日、診察時間は立地などにより考慮する必要性がございます。
また先生ご自身がスキルを身につけるために大学での非常勤勤務を続けたり、クリニックで診察している患者を勤務していた病院で自分で手術を行いたい場合など、それらも踏まえて診療日を決める必要性がございます。
診察時間においても勤務後の患者層を狙うのであれば、20時まで診察だとかお昼も14時までにするなど。
ただし、日曜祭日や遅い時間までの診療の場合、スタッフがなかなか集まらないなどといったデメリットもございます。
これらも先生の診療コンセプトとして大切ですので、開業プラン時にある程度お決めになることをお勧めいたします。